慢性肝炎

慢性肝炎(まんせいかんえん)

健康診断の血液検査の結果で、「AST(GOT)」や「ALT(GPT)」といった項目の数値にひっかかったことはありませんか?「どこも痛くないし、体調も良いから大丈夫だろう」と放置されがちですが、そこに潜んでいる代表的な病気が「慢性肝炎(まんせいかんえん)」です。

慢性肝炎とは、何らかの原因によって肝臓の細胞が壊れる炎症が、およそ6ヶ月以上の長期にわたって続いている状態を指します。

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれており、非常に我慢強い性質を持っています。そのため、炎症が起こって細胞が少しずつ壊されていても、初期のうちは痛みやだるさといった自覚症状がまったく現れません。症状がないからといって放置していると、水面下で病気が進行してしまうのが、慢性肝炎の最も怖い特徴です。

こんな人は要注意(原因とリスクのセルフチェック表)

慢性肝炎を引き起こすきっかけやリスクの背景は、ウイルス感染、長年の飲酒習慣、あるいは日々の食生活や運動不足といった生活習慣など、人によって本当に様々です。

厄介なのは、どの原因から始まった炎症であっても、初期段階では肝臓が目に見える悲鳴を上げてくれないため、自分自身で「今、肝臓が傷ついている」と気づくことが極めて難しいという点にあります。だからこそ、体にこれといった異常を感じていない今のうちから、ご自身の育ってきた環境や日頃のライフスタイル、そして過去の健康診断の数値を客観的に振り返ってみることが、隠れた慢性肝炎のリスクをいち早く見つけ出すための非常に重要な第一歩となります。

まずはご自身に当てはまる項目がないか、以下のチェック表を使って一つずつ確認してみましょう。

慢性肝炎リスクチェック表
主な原因 肝臓への影響と特徴 こんな方は要注意(チェック項目)
ウイルス性
(B型・C型など)
肝炎ウイルスに感染することで起こります。

かつては輸血や注射器の回し打ちなどで感染しましたが、現代では母子感染や血液を介した感染が中心です。
家族にB型・C型肝炎のキャリアがいる
1992年以前に輸血や大きな手術を受けた
過去に一度も肝炎ウイルスの検査をしたことがない
アルコール性 長年にわたる過度な飲酒によって、肝臓に中性脂肪が溜まり、やがて炎症を引き起こして細胞を破壊します。
毎日お酒を飲んでおり、休肝日がない
ビールなら大瓶2本、日本酒なら2合以上を毎日飲む
お酒を飲むとすぐに顔が赤くなる(または強すぎる)
非アルコール性
(生活習慣・脂肪肝)
お酒をほとんど飲まない人でも、食べすぎや運動不足によって肝臓に脂肪が溜まり(脂肪肝)、そこから炎症(NASH:非アルコール性脂肪肝炎)へと進行します。
健康診断で「脂肪肝」を指摘されたことがある
20歳の頃に比べて体重が大幅に増えた
脂っこい食事、甘いもの、炭水化物が大好きである
日常的に運動不足を感じている(車移動が多いなど)
【チェック結果の目安】

どれかひとつでも心当たりがある方、あるいは健康診断の血液検査で肝機能の数値を指摘されたことがある方は、自覚症状がなくても慢性肝炎のリスクがあります。手遅れになる前に、一度当院までご相談ください。

放置するとどうなる?(慢性肝炎が招く重大なリスク)

慢性肝炎を「痛くないから」と治療せずに放置すると、壊れた肝臓の細胞を修復しようとして、肝臓の中に「繊維(かさぶたのようなもの)」がどんどん増えていきます。これが何年も繰り返されると、肝臓は次のような命に関わる重篤な状態へと進行してしまいます。

肝硬変(かんこうへん) 慢性肝炎が何年も続いた結果、肝臓全体がゴツゴツと、岩のように硬くなってしまった状態です。ここまで進行すると、肝臓は元の柔らかい元気な状態には戻らなくなってしまいます。さらに悪化すると、黄疸(皮膚や目が黄色くなる)、腹水(お腹に水が溜まる)、肝性脳症(意識が朦朧とする)などの深刻な症状が現れます。
肝がん(かんがん) 肝硬変になった肝臓からは、非常に高い確率で「肝がん」が発生します。慢性肝炎は、いわば「がんの土壌」を作っている状態なのです。

肝臓はギリギリまで悲鳴を上げません。「症状が出たときには、すでに肝硬変や肝がんに進行しており、手遅れに近い状態だった」という事態を防ぐためにも、早期発見・早期治療が何よりも大切です。

検査または治療方法

当院では、適切な検査で慢性肝炎の原因と進行度を正確に把握し、原因に応じた最適な治療を行います。

当院で行う検査と治療のまとめ
区分 具体的なアプローチ 検査・治療の内容と目的
検査 血液検査 AST・ALTなどの数値で現在の肝臓のダメージ具合を調べます。また、B型・C型肝炎ウイルスの有無や、中性脂肪・コレステロールの数値も同時に確認します。
検査 腹部超音波(エコー)検査 お腹に超音波を当てて、肝臓の形や脂肪の溜まり具合、硬さをリアルタイムで観察します。痛みはなく、放射線の被ばくもない安全な検査です。
治療 ウイルス性肝炎の治療 近年の医療の進歩により、C型肝炎は「お薬を数ヶ月飲むだけ」でウイルスをほぼ根絶できるようになりました。B型肝炎についても、ウイルスの増殖を抑える優れたお薬があります。
治療 生活習慣・脂肪肝の治療 アルコール性や非アルコール性(脂肪肝)の場合は、肝臓にお薬を出すだけでなく、食事療法や運動療法のアドバイスを行い、根本からの改善を目指します。
生活改善

肝臓をいたわり、慢性肝炎の進行を抑える(または脂肪肝を改善する)ためには、日々の生活習慣の見直しが不可欠です。

お酒との付き合い方を見直す

アルコールが原因の方は「禁酒」が原則です。それ以外の方も、肝臓の負担を減らすために週に2回以上の「休肝日」を設け、適量を守るようにしましょう。

食事のバランスを整える

糖質(ごはん、パン、麺類、甘いもの)や脂っこい食事の摂りすぎは、肝臓に直接脂肪をため込みます。野菜やキノコ類、海藻など食物繊維を多く含む食材を積極的に摂り、腹八分目を意識してください。

適度な運動を習慣にする

肝臓に溜まった脂肪を燃やすには、ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動が効果的です。日頃から車移動が多い方は、少し遠くの駐車場に停めて歩くなど、日常の歩数を増やす工夫から始めましょう。

受診の流れ

当院で健康診断の二次検査や、肝機能のご相談、腹部エコー検査をご希望される場合の受付からお会計までの流れです。

1
事前のご予約

当院では、患者様をできるだけお待たせせず、スムーズに診療を行うため、診察および各種検査は予約制となっております。ご予約の際は、【予約について】のご案内ページをご確認のうえ、お手続きくださいますようお願いいたします。

2
問診・診察

ご来院後、医師が過去の健康診断の結果用紙を確認しながら、日頃の生活習慣(飲酒量や食事内容)、現在服用中のお薬などについて詳しくお伺いします。

3
検査の実施

必要に応じて、採血や腹部超音波(エコー)検査を行います。エコー検査の際は、前日の夜からの絶食が必要になる場合がありますので、ご予約の際にお電話にて詳しくご案内いたします。

4
結果説明と治療プランの決定

検査結果をもとに、現在の肝臓の状態を分かりやすく説明します。ウイルス治療が必要な場合や、生活習慣の改善が必要な場合など、お一人おひとりに合わせた治療・指導を行います。

5
お会計

すべての診療・検査が終了しましたら、待合室でお待ちいただき、お会計となります。

※ご注意: 当院でのお支払いは現金のみとなっております。キャッシュレス決済(クレジットカードや電子マネーなど)はご利用になれませんので、あらかじめ現金のご用意をお願いいたします。

まとめ:皆様の「沈黙のサイン」を受け止めます

慢性肝炎の最も恐ろしいところは、何の自覚症状もないまま、水面下で「肝硬変」や「肝がん」という命に関わる重大な局面へと静かに進んでいく点にあります。体からの分かりやすい「痛み」や「だるさ」といったSOSがないからこそ、多くの方が気づかぬうちに病気を進行させてしまいがちです。しかし、血液検査や腹部超音波(エコー)検査を行いさえすれば、肝臓が声なく発している小さな悲鳴を確実にキャッチし、進行を未然に食い止めることができます。

当院では、病気が深刻化してから慌てて治療を始めるのではなく、「そもそも大きな病気へと進行させないための予防医療」を大切にしています。皆様が10年後、20年後も今と変わらず元気な体で、笑顔の絶えない毎日を過ごしていただけるよう、日々の診療と検査に丁寧に取り組んでいます。

健康診断で数値の異常を指摘された方や、日頃の「お酒の飲みすぎ」「脂肪肝」が気になっている方は、「痛くないからまだ大丈夫」と先延ばしにせず、どうぞお気軽にたにクリニックまでご相談ください。皆様の不安に優しく寄り添い、確かな健康を守るためのサポートをいたします。

肝機能の数値や脂肪肝が気になる方へ

健康診断の結果や飲酒習慣、現在の症状などを確認し、必要な血液検査・腹部エコー検査・治療方法をご案内いたします。