ピロリ菌について

  • HOME
  • ピロリ菌について
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)について


「胃の中に棲む恐ろしい細菌」として、テレビや健康診断の案内などで「ピロリ菌」という言葉を耳にすることが多いのではないでしょうか。

本来、人間の胃の中は非常に強力な酸性を持つ「胃酸」で満たされているため、どのような細菌も生きていくことはできないと考えられていました。

しかしピロリ菌は、「ウレアーゼ」という特殊な酵素を自ら分泌し、胃の中の尿素からアンモニア(アルカリ性)を作り出すことで、自分の周りの胃酸を中和し、なんと胃の中で生き抜くことができるのです。

このピロリ菌が胃の中に棲みつくと、胃の粘膜を攻撃して慢性的な炎症を引き起こし、胃の本来持っているバリア機能を根本から弱めてしまいます。

ピロリ菌の感染度セルフチェック

「自分には関係ない」「症状がないから大丈夫」と思っていませんか?ピロリ菌は自覚症状がないまま胃を蝕んでいくことが多いため、以下の項目でご自身の生活環境や体のサインをチェックしてみましょう。

あなたは大丈夫?ピロリ菌リスクチェック表
チェック項目 背景とリスクの理由
50代以上(1970年代以前に生まれた)である 当時は上下水道などのインフラが未整備だったため、この世代の感染率は高めです。
幼少期に井戸水を飲んでいた、または飲んでいた地域で育った ピロリ菌は自然界の水(特に井戸水など)の中に存在していることがあります。
親や祖父母に「胃がん」「胃潰瘍」にかかった人がいる 幼少期の家族間の「口移しでの食事」などによって、親から子へ感染した可能性があります。
慢性的にみぞおちが痛む、胃もたれ、膨満感がある すでにピロリ菌によって胃の粘膜が慢性的に傷つけられているサインかもしれません。
市販の胃薬を飲んでも、すっきり症状が改善しない 薬で胃酸を抑えても、原因であるピロリ菌が棲みついている限り根本解決になりません。
過去の健康診断で「慢性胃炎(萎縮性胃炎)」を指摘された 萎縮性胃炎のほとんどはピロリ菌の長年の感染が原因であり、胃がんの黄色信号です。
【チェック結果の目安】
1〜2個該当 感染の可能性があります。一度、検査を検討しましょう。
3個以上該当 感染しているリスクが非常に高い状態です。

未来の胃がん予防のためにも、早めに当院までご相談ください。

こんな人は要注意(主な原因と感染ルート)

ピロリ菌の感染ルートは、主に「乳幼児期(5歳頃まで)の経口感染(口から入ること)」です。乳幼児の胃の中はまだ酸性が弱く、ピロリ菌が棲みつきやすいためです。

かつての衛生環境

上下水道が十分に普及していなかった時代に育った世代の方は、井戸水などを通じて感染しているケースが多く見られます。

家庭内での感染

以前の日本においては、ピロリ菌に感染している親や祖父母が、小さな子どもへ食べ物を「口移し」で与えたり、同じスプーンを共用したりすることがあったため、そのことによる家庭内感染が主なルートと考えられています。

※なお、胃酸が十分に強くなった大人になってから、日常的なキスや回し飲み、食器の共用などで他人に新しく感染することはほぼありませんので、過度な心配は不要です。

放置するとどうなる?(ピロリ菌が招く重大なリスク)

ピロリ菌を治療せずに放置すると、胃の炎症は数十年にわたって持続します。この状態を「慢性胃炎」と呼び、次第に胃の粘膜が薄く変化していく「萎縮性(いしゅくせい)胃炎」へと進行します。バリアが壊れた胃は、以下のような深刻な病気を次々と引き起こします。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍 胃酸の直接的な攻撃に耐えきれなくなり、胃や十二指腸の壁が深く削れてしまいます。放置すると血管が破れて「吐血・下血」を起こしたり、壁に完全に穴が空く「穿孔(せんこう)」を起こして緊急手術が必要になったりします。
胃がん 最大のリスクは、慢性的な炎症が続くことで細胞ががん化し、「胃がん」の発症リスクが感染していない人に比べて約20倍以上に跳ね上がることです。日本の胃がん患者の実に99%近くがピロリ菌感染者、または過去の感染者であると言われています。

ピロリ菌は、まさに胃の中の「時限爆弾」とも言える存在です。しかし裏を返せば、「ピロリ菌をしっかり除菌することで、胃がんのリスクを減らすことができる」のです。

検査または治療方法


当院では、患者様のお体に負担の少ない方法で検査を行い、確実な除菌治療を進めてまいります。

当院で行う検査と治療のまとめ
区分 具体的なアプローチ 検査・治療の内容と目的
検査 胃カメラ(内視鏡検査) 保険診療でピロリ菌検査・除菌を行うためには、胃カメラで「慢性胃炎」や「胃潰瘍」があることを確認することが国の方針(ルール)で必須となっています。当院の「内視鏡専門医」が苦痛を最小限に抑えて優しく検査します。
検査 ピロリ菌確定検査 胃カメラ実施後、息を袋に吹き込むだけの「尿素呼気試験」や、血液検査、便検査などでピロリ菌の有無を判定します。
治療 一次除菌(お薬の内服) 胃酸を強力に抑える薬と、2種類の抗生物質の計3種類のお薬を「1週間、毎日朝晩」服用していただきます。正しく服用すれば約80〜90%の確率で除菌成功します。
治療 二次除菌(必要な場合のみ) 万が一、1回目の除菌でお薬に耐性のある菌が残り失敗してしまった場合でも、抗生物質を1種類変更して、もう一度1週間内服する「二次除菌」を行うことが可能です。トータル約99%の方が除菌が可能です(保険適応)。
生活改善(除菌中・除菌後の注意点)

ピロリ菌の除菌治療を確実に成功させ、その後の健康を守るためには、日常生活の中で以下の点に注意することが重要です。

除菌期間中の約束(お薬を飲む1週間)
絶対に途中で飲み忘れない・やめない

「途中で症状が良くなったから」「なんとなく面倒だから」と自己判断で内服を中断したり飲み忘れたりすると、菌が抗生物質に対して抵抗力(耐性)を持ってしまい、薬が全く効かない強力なピロリ菌へと変化してしまいます。1週間、必ずきっちりと飲みきってください。下痢や薬疹など副作用が出た場合は、薬を継続するかどうかの判断が必要となりますので、当院までご相談ください。

禁煙

一次除菌、二次除菌とも、除菌期間中は禁煙が必要です。喫煙することで、薬が胃粘膜に十分に届かなくなるため、除菌の成功率が低下してしまいます。

禁酒(アルコールを控える)

2次除菌期間中はお酒を飲むと、薬の分解を邪魔して下痢などの副作用が出やすくなったり、薬の効果が弱まって除菌の成功率が下がったりします。この1週間だけは禁酒をお願いいたします。

除菌が成功したあとの注意点
「除菌=胃がんリスクゼロ」ではありません

無事に除菌が成功すると、胃の健康状態は劇的に良くなり、胃潰瘍などの再発率は10%以下に激減します。しかし、長年ピロリ菌に痛めつけられてきた胃の粘膜には、いわば「過去の傷跡」が残っている状態です。がんのリスクは除菌していない方に比べて低くなりますが、ゼロにはなりません。

年に1回は定期的な胃カメラを

除菌が終わったからと油断せず、早期発見・早期治療のために、年に1回は当院で定期的な胃カメラ検査(内視鏡検査)を継続して受けることが、未来の健康を守る何よりの生活改善です。

受診の流れ

当院でピロリ菌の検査や除菌、胃カメラをご希望される場合の一般的な流れです。

1
事前のご予約

ご予約の際は、【予約について】のご案内ページをご確認のうえ、お手続きくださいますようお願いいたします。

2
問診・診察

医師・看護師がこれまでの症状やご家族の病歴(胃がんなど)、現在飲んでいるお薬の状況を詳しくお伺いします。

3
胃カメラおよびピロリ菌検査の実施

内視鏡専門医が、苦痛を最小限に抑え、胃の粘膜を詳しく確認し、ピロリ菌検査を行います。

4
お薬の処方と除菌スタート

ピロリ菌が確認された場合、除菌のためのお薬(1週間分)を処方し、具体的な飲み方のアドバイスを行います。

5
お会計

※ご注意: 当院でのお支払いは現金のみとなっております。キャッシュレス決済はご利用になれませんので、あらかじめ現金のご用意をお願いいたします。

「胃がんを未然に防ぐ」という、確かな選択肢を


「もしかしたら自分も感染しているかも……」と不安に思われた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、ピロリ菌は決して恐れるだけの存在ではありません。

わずか1週間お薬をしっかりと飲むだけで、未来の胃がんリスクを自分の手で劇的に抑え込むことができる、いわば「原因がはっきりと分かっているからこそ、確実に予防できる病気」なのです。

当院では、胃がんになってからの治療ではなく、「そもそも胃がんにさせないための予防医療」に何よりも力を入れています。

この広島市安芸区の地で開院して以来、私たちは、地域の皆様が大きな病気にかからず、笑顔で過ごせる未来をずっと追求してまいりました。だからこそ、胃がんの最大原因であるピロリ菌の早期発見と確実な除菌には、特別な情熱を持って取り組んでいます。

セルフチェックで心当たりがあった方や、健康診断で胃の異常を指摘された方は、ご自身とご家族の未来の健康を守るための第一歩として、どうぞお気軽にたにクリニックまでご相談ください。内視鏡専門医が、あなたに寄り添い、優しくサポートいたします。

ピロリ菌の検査・除菌をご希望の方へ

胃の症状や健康診断の結果、ご家族の病歴などを確認し、必要な検査や治療方法をご案内いたします。