胃潰瘍(いかいよう)

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胃潰瘍(いかいよう)

「ストレスが溜まると胃に穴が空く」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。この言葉が指す代表的な病気こそが「胃潰瘍(いかいよう)」です。


私たちの胃の中には、食べ物を消化するために非常に強力な酸性を持つ「胃酸」と、その胃酸から自分自身の胃の壁を守るための「胃粘液(防御因子)」が存在しています。健康な状態であればこの2つのバランスが保たれているのですが、何らかの原因でバランスが崩れると、胃酸が自分自身の胃の粘膜を攻撃して溶かしてしまうのです。

胃の粘膜がただれる「胃炎」よりもさらに深く、胃の壁が深く削れて傷ついてしまった状態を胃潰瘍と呼びます。

診断基準

胃潰瘍を正確に診断するためには、患者様の「みぞおちが痛い」「胃がもたれる」といった症状をお伺いするだけでは不十分です。なぜなら、胃潰瘍と非常によく似た症状を起こす病気には、十二指腸潰瘍や胃炎だけでなく、早期の「胃がん」なども含まれているからです。

そのため、胃潰瘍の確実な診断基準として、「胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)」によって胃の粘膜を直接観察することが必須となります。

当院では、鼻から挿入できる苦痛の少ない胃内視鏡(胃カメラ)を導入し、日本消化器内視鏡学会の「内視鏡専門医」が、患者様ができるだけ楽に、安心して受けられる検査を行っております。「胃カメラは苦しそうだから…」と不安な方も、どうぞ安心して当院までご相談ください。

胃潰瘍と十二指腸潰瘍の違い

お腹の上部に痛みを感じた際、胃潰瘍と非常によく似た症状を現すため、専門医(消化器内科)として必ず識別しなければならない病気に「十二指腸(じゅうにしちょう)潰瘍」があります。

胃から繋がる十二指腸は、食べ物をさらに消化・吸収するための大切な器官ですが、胃潰瘍と十二指腸潰瘍は、どちらも強力な胃酸によって自らの粘膜が深く傷つけられてしまうメカニズムが共通しているため、医療の世界ではこれらをまとめて「消化性潰瘍(しょうかせいかいよう)」と呼んでいます。

原因こそ似通っている両者ですが、病気が発生する場所が異なるため、現れる症状や「特に激しい痛みに襲われるタイミング」には明確な違い(特徴)があります。たとえば、食事をとることで胃酸が薄まるのか、あるいは逆に胃酸の分泌が活発になるのかといった体の仕組みによって、痛みのサインの出方が変わってくるのです。

ご自身の現在の痛みがどちらの傾向に近いのか、以下の比較表を参考にチェックしてみてください。

比較項目 胃潰瘍(いかいよう) 十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)
痛む場所 みぞおちのあたり みぞおちのやや右側、または背中
痛むタイミング 食後(30分〜1時間後が多い) 空腹時や夜間(食べると治まる)
主な年齢層 40代〜60代に多い 20代〜40代の比較的若い世代に多い
主な原因 ピロリ菌、痛み止め、ストレス ピロリ菌、胃酸過多、ストレス
放置のリスク 胃がんとの識別が特に重要 穿孔(穴が空く)リスクが胃より高い
こんな人は要注意(主な原因と特徴一覧)


胃潰瘍は、胃酸の攻撃力が強くなりすぎるか、胃を守る粘膜のバリア機能が弱まることで発症します。特にリスクの高い原因を以下の表にまとめました。

主な原因 胃に与える影響・特徴 こんな方は要注意
ピロリ菌の感染 胃の中に棲みつき、慢性的な炎症を起こして胃のバリア機能を根本から弱めてしまう。胃潰瘍の最大の原因。 健康診断で陽性を指摘された 家族にピロリ菌感染者がいる
痛み止め(NSAIDs) 痛みを抑える一方で、胃の粘膜を保護する血流を減らしてしまう副作用がある。 頭痛、生理痛、腰痛などでロキソニンやイブなどの市販薬・処方薬を常用している
強いストレス・過労 自律神経が乱れることで胃の血管が縮み、粘液の分泌が急激に低下して胃酸に負けてしまう。 仕事や人間関係で強いストレスがある 深刻な寝不足や疲れが溜まっている
嗜好品の過剰摂取 タバコ(ニコチン)は胃の血流を悪化させ、お酒やコーヒーは胃酸を過剰に分泌させて胃を痛めつける。 喫煙習慣がある 毎晩の深酒や、空腹時のコーヒーが習慣
放置するとどうなる?(胃潰瘍が招く重大なリスク)

胃潰瘍の代表的な症状は、「食後しばらくしてからの、みぞおち周辺の鈍い痛み」です。そのほか、胃もたれ、吐き気、げっぷ、食欲不振などが現れますが、人によっては「少し胃が荒れているだけだろう」と市販の胃薬で誤魔化して放置してしまうケースが少なくありません。

しかし、胃潰瘍を治療せずに放置すると、削れた傷口がどんどん深くなり、次のような命に関わる重篤な合併症を引き起こします。

吐血(とけつ)・下血(げけつ) 潰瘍が胃の壁の奥にある太い血管まで達すると、大出血を起こします。血を吐いたり(吐血)、便に血液が混ざって真っ黒なタールのような便が出たり(下血)します。大量出血により急激な貧血や意識を失うショック状態に陥るため、一刻を争う救急処置が必要です。
胃穿孔(いせんこう) 潰瘍が胃の壁を完全に突き破り、「胃に穴が空いてしまった状態」です。胃の中の強い酸や食べカスが、お腹の全体(腹腔内)に漏れ出すため、信じられないほどの激痛に襲われます。「急性腹膜炎」という命に関わる危険な状態になり、一刻も早い緊急手術が必要となります。

「たかが胃痛」と自己判断せず、症状が続く場合は早めに医療機関を受診することが、これらの一大事を防ぐ唯一の方法です。

検査または治療方法

当院では、適切な検査で原因を突き止め、速やかに痛みを抑えて治癒へ導く治療を行います。具体的なアプローチは以下の通りです。

当院で行う検査と治療のまとめ
区分 具体的なアプローチ 検査・治療の内容と目的
検査 胃カメラ(内視鏡検査) 胃の粘膜を直接観察し、潰瘍の大きさや深さを正確に診断。胃がんとの識別のため、組織を一部採取(生検)することもあります。
検査 ピロリ菌検査 胃潰瘍の原因がピロリ菌にあるかを調べるため、呼気(息を吐く検査)や血液、便の検査などを行います。
治療 お薬による治療 胃酸の分泌を強力に止める優れたお薬(PPIやP-CABなど)を正しく内服することで、数週間〜数ヶ月で綺麗に治すことができます。
治療 ピロリ菌の除菌治療 再発を防ぐため、胃酸を抑える薬と2種類の抗生物質を合わせて「1週間毎日服用」する治療を行います。
生活改善

お薬で胃潰瘍を治すとともに、日常生活の中で胃をいたわる工夫をすることで、治癒が早まり、将来の再発を予防することができます。

胃に優しい食事を心がける

避けるべきもの: 唐辛子などの激辛料理、カフェインの多いコーヒーや濃いお茶、アルコール、酸味の強いもの(レモンや酢の物)、脂っこい食べ物は胃酸を過剰に分泌させるため、治療中はできるだけ控えましょう。

おすすめの工夫: おかゆ、うどん、白身魚、豆腐、鶏のささみなど、柔らかく消化に良いものを中心に選びます。また、食べる時はよく噛んで、胃の消化の負担を減らしてあげることが大切です。一度にたくさん食べず、腹八分目を意識しましょう。

服用しているお薬を医師に相談する

持病の腰痛や頭痛などで痛み止め(NSAIDs)を常用している方は、自己判断で飲み続けず、必ず医師にご相談ください。胃への負担が少ない別の痛み止めに変更するか、胃粘膜を保護するお薬を一緒に処方するなど、安全に治療を続けられるよう調整いたします。

規則正しい生活と心のケア

十分な睡眠と休息をとり、体が本来持つ修復力を高めましょう。ストレスをゼロにすることは難しくても、趣味の時間を作ったり、お風呂にゆっくり浸かったりして、心と体をリラックスさせる時間を意識的に確保することが胃を守ることにつながります。当然、血管を収縮させて胃のバリアを壊してしまうタバコは「禁煙」が原則です。

受診の流れ

当院でみぞおちの痛みのご相談や、胃カメラ(内視鏡検査)をご希望される場合の受付からお会計までの一般的な流れです。

1
お電話での事前予約(胃カメラご希望の方へ)

当院では、患者様に安全でスムーズな検査を受けていただくため、「胃カメラ(内視鏡検査)のご予約は直接お電話のみ」での受付となっております。

「みぞおちが痛むので胃カメラを考えている」「健診で胃の精密検査を勧められた」という方は、まずは診察時間内にお気軽にお電話にてご相談・ご予約ください。

2
問診・診察

ご来院後、まずは医師・看護師が日頃の症状(痛むタイミングや痛みの強さ)、現在服用中のお薬、過去の健康診断の結果などをじっくりお伺いし、診察を行います。

3
胃カメラ検査の実施

医師が必要と判断した場合、事前のご予約に沿って胃カメラ検査を行います。内視鏡専門医が、喉や鼻への適切な麻酔を使用し、苦痛を最小限に抑えながら優しく丁寧かつ迅速に胃の内部を観察します。

4
結果説明と治療プランの決定

検査後、モニターに映し出された実際の画像を見ながら、医師が現在の胃の状態を分かりやすく説明します。胃潰瘍が認められた場合は、お一人おひとりに最適な治療薬(胃酸を抑えるお薬など)の処方や、今後の生活指導のアドバイスを行います。

5
お会計

すべての診察・検査・処方が終了しましたら、待合室でお待ちいただき、お会計となります。

※ご注意: 当院でのお支払いは現金のみとなっております。キャッシュレス決済(クレジットカードや電子マネーなど)はご利用になれませんので、あらかじめ現金のご用意をお願いいたします。

「これくらいで」と思わずに、お腹の不調はご相談ください


「ただの胃痛だから、そのうち治るだろう」「ストレスのせいだから仕方がない」と、みぞおちの痛みを我慢して放置してしまうのは非常に危険です。胃潰瘍は進行すると命に関わる合併症を引き起こす恐ろしさを持っていますが、裏を返せば、医療機関を受診して適切な治療を受けさえすれば、お薬でしっかりと完治を目指せる病気でもあります。

当院は、この広島市安芸区の地に開院して以来、地域の皆様の「お腹の健康」を近くで見守り続けてまいりました。消化器内科の専門クリニックとして、胃がんなどの重大な病気の早期発見はもちろんのこと、日々のつらい症状を一日も早く取り除くことに丁寧に取り組んでいます。

みぞおちの痛み、胃のもたれ、食欲不振など、少しでも気になる不調がございましたら、「これくらいで受診していいのかな」と一人で悩まずに、どうぞお気軽に、たにクリニックまでお電話でご相談ください。内視鏡専門医が皆様の不安に寄り添い、健やかな毎日を取り戻すお手伝いをいたします。